きょうの修理 ~鏡牙 100SH~
両軸・ベイトリール2022.05.18
今回ご紹介するのは、タチウオジギングで活躍する「鏡牙 100SH」の修理です。「ぶつけたり落としたりしていないのに、スプールフリーが悪くなった」とのこと。
さっそく現品を確かめてみましょう。
確かに、リールの外観に打痕や傷などは見られないようですね。
ここまでの情報だけで、いつもコラムをご覧くださっている方ならピンとくるかもしれません。
お察しの通り、今回の症状は塩ガミによる回転不具合が原因でした。
上記画像の赤丸部分を見ると、スプールエッジやフレームのスプール格納部分にいくつか白い点がついているのが分かります。これが塩の粒です。
一方で、下記画像のようにスプールボールベアリングをはじめ、スプールフリーに関わる部分には異常がありません。そのほかのパーツにも破損や歪みなどはありませんでした。
パーツに消耗や不具合がなくても、スプールとフレームの隙間に塩分や汚れなどがあると、スプール回転の滑らかさが損なわれてしまいます。素早く指示棚に落としたいとき、スプール回転が悪いと上手くいかないですよね。
修理作業としては、スプールエッジやフレームに付着している塩や汚れを取り除くだけ。きれいになったパーツを組み立て、作動点検をしてみましょう。
ご依頼いただいたスプールフリーをはじめ、ハンドル回転やそのほか基本性能にも問題ありません。これで作業は完了です。
今回はパーツ交換なしで修理ができましたが、塩ガミがひどくなるとスプールフリー以外にも影響が出て、交換パーツも増えてしまうかもしれません。
不具合を出さないためにも、快適な状態をより長く維持するためにも、取扱説明書に従ったお手入れをおすすめします。
ただし、リールの内部状態はご使用環境やお客様によってそれぞれです。
ご自宅でのお手入れだけでは取り除けない汚れや、パーツの消耗などを定期的に確認することで、リールを直しながら捨てることなく使い続けられます。
少なくとも1~2年に一度は、総合点検としてSLPへオーバーホールにお預けください。
(当コラムの情報は更新時点のものです。公開後も情報の更新に努めておりますが、最新の情報と異なる場合があります。)