きょうのオーバーホール ~YouTube連動企画~

スピニングリール

2022.08.24


今回オーバーホールするのはこちらのリール。SLP WORKS EXISTセミオーダーシステム(※)でカスタムされた18EXIST(イグジスト)です。

先日公開されたYouTube動画にて作業の様子を公開していますが、そちらはもうご覧いただけましたか? コラムでは作業内容について、より詳細にご紹介します。

 

スプールのガタつきに加え、誤ってマグシールドラインローラーに注油してしまった点が気になるとのこと。オーバーホールとあわせてご依頼をいただきました。

 

さらに、セミオーダーしたリールに付属する「オーバーホール手数料初回無料カード」をご使用されるようですね。ありがとうございます。

それでは、さっそく点検から始めていきましょう。

 

※18EXISTセミオーダーはすでに終了しております。


スプールのガタを点検! 異常ではなく……?


まずはハンドルを回すところから点検を始めます。巻き心地に問題はなく、ラインローラーのみ動きが少し重いようですが、内部状態はおおむね良さそうです。

 

一通り点検をしたら、分解しつつ「スプールのガタつき」を見ていきます。

ところが動かしてみると、特に異常はなさそうでした。部品にも、破損している部分はありません。

 

ボディ部も分解しましたが、スプールのガタつきに影響するメインシャフトやオシレートギアにも異常なし。

このあたりの部品は、YouTubeにアップされている動画でもじっくり確認できます。

 


上記のことから、構造上生じる若干の隙間についておっしゃっていることが窺えますね。

通常、取り付けられているスプールを掴むとわずかに上下に動かすことができます。なぜ動くのかというと、メインシャフトとオシレートギアが重なる部分と、オシレートギアとドライブギアの噛み合う部分に隙間があるためです。



ただし隙間というのは不具合ではなく、リールを安定して作動させるために必要な「クリアランス」と呼ばれるもの。つまり、ガタではなく正常な状態だったということですね。

この部分については「もしかしたら異常なのではないか?」というご依頼をいただくことが時々ございます。多くの場合はクリアランスなので心配は不要なのですが、やはり技術スタッフが拝見することでよりご安心いただけるようです。

 

分解前の想定通り内部状態は良好なため、洗浄とグリスアップをすれば問題ないでしょう。


ラインローラーへの注油については?


続いては、注油してしまったとご申告のあったラインローラーをチェックします。



こちらの18EXISTは本来マグシールドラインローラーですが、誤って注油してしまったことでマグオイルが流れ出てしまったようです。ボールベアリングも回転の滑らかさがなくなっているため、交換しましょう。


かかった料金は以下の通り。パーツを洗浄してグリスアップ、マグオイルの注入をしながら組み立てて作業完了です。

 

◆交換部品:ローラーボールベアリング

◆交換部品代:¥2,600(税込¥2,860)

◆手数料:なし(オーバーホールカード使用のため)

 

実はお客様は「ベールとスプールについた傷」も気にされているようでしたが、性能に影響するほどではないため今回は交換を見送りました。そういった部分まで技術スタッフがチェックしてくれるのは、オーバーホールの利点ですね。

 

オーバーホールのご依頼を受け、その作業内であわせて修理も行うことは多々あります。

しかし、今回のように修理が必要なほどの不具合がない状態や、念のため点検してほしいといった場合にもご利用いただけるのがオーバーホールです。

SLPの技術スタッフは、「釣り具を大事に使いたい」という想いを支えていきます。


SLPはダイワのアフターサービスセンターです。

ダイワの釣り具の修理・メンテナンスはSLPが担っています。

 

また、SLP PLUSでは釣り具のメンテナンスについて、コラムや動画を通してご紹介しています。

今回のコラムで取り上げた18EXISTのオーバーホール作業は、SLP PLUSチャンネルにアップされている動画でもご覧いただけますよ!