きょうの修理 ~マグシールドに誤って注油したら?~
スピニングリール2020.11.04
今回は「誤ってマグシールド部に注油してしまった!」という18フリームスLT3000S-CXHを見ていきましょう。
おさらい! マグシールドって何?
ご存じの通りマグシールドとは、防水・防塵のためのダイワテクノロジーのひとつ。
「マグオイル」と呼ばれる磁性流体を用いて、リール内部に作った磁場によりオイルを膜状にし、微細なごみや水分からリールを守るシールドが「マグシールド」です。
このマグシールドですが、分解して磁場を崩したりマグオイルに別の潤滑油を混ぜてしまったりすると、その機能を失ってしまいます。
そのためお客様ご自身によるマグシールド部の分解や注油は絶対におやめください。
ご自身でメンテナンスを行う際は、リールの取扱説明書に沿ったやり方を守っていただくようお願いいたします。
お預けいただいたフリームスは誤ってマグシールド部に注油してしまったとのこと。
では、マグシールドの確認とメンテナンス作業を行っていきます。
注油してしまったリールの修理
まずは簡単に作動検査。ハンドルを回してみても不具合は感じられず、水洗いもよくできているようです。
しかし、お客様が誤って注油してしまっているはずなので、分解して確認する必要があります。
マグシールド部とご申告されていることから、このあたりからグリスかオイルを噴射してしまったのでしょうか? まずはローター付近をチェックしてみましょう。
分解しつつマグシールドと注油箇所の確認を行います。
バラしたローターを裏返して、注油が疑われる部分を指でなぞるとご覧の通り。グリスのようなものが付着しているのが分かります。
やはりご申告通り、ローター部に注油してしまっているようですね。
先述したように、マグオイルは別のグリスやオイルが混ざるとその機能を失ってしまいます。それはダイワ純正のものであっても同じこと。
このフリームスもマグオイルにグリスが混ざってしまっています。この状態ではマグシールドが機能しないため、メンテナンスが必要です。
分解しクリーニングをしたあと、グリスアップとともにマグオイルを注入し、組み上げていきます。
マグシールドが搭載されているのはこのあたり。上記画像中央の皿状のパーツとその内側の環状のパーツとの間にマグオイルが入り、海水やごみの浸入を防いでいます。
組み上げ後には作動チェックまで行い、修理完了です!
◆交換部品:なし
◆手数料:¥2,700(税抜)
マグシールド搭載機のメンテナンス
マグシールド搭載のスピニングリールは、回転性能にとって特に重要な箇所が防水・防塵されることで、従来よりも長く初期性能の維持が可能になりました。メンテナンスの際の注油は「ベールの付け根」と「ハンドルノブ」だけで、非常に簡単!
近年のスピニングリールのお手入れ方法はこちらのコラムに詳しく掲載してあります。
また、具体的なマグシールド搭載スピニングリールの注油について知りたい方は、18イグジストの注油コラムをご覧ください。
マグシールドによってご自宅でのお手入れはさらに簡単になりました。
しかし使用による消耗や劣化は必ず起きるうえ、全て分解しての清掃も時々は必要です。
マグシールドに劣化や流出はありませんが、ひとつのパーツに過ぎません。リール全体を良い状態で長く使用するためには、パーツチェックや分解してのクリーニング、グリスの入れ替えを行う総合点検である「オーバーホール」をお忘れなく。
オーバーホールのご依頼は、SLPにお任せください。
SLPはダイワの釣り具の修理・メンテナンスを手掛けています。
メンテナンス会員サービス「SLP PLUS」も今後さらにサービスを拡充予定。ぜひご利用ください!
(当コラムの情報は更新時点のものです。公開後も情報の更新に努めておりますが、最新の情報と異なる場合があります。)